ランチタイムは社会人に与えられたオアシスだ。
今日は何を食べよう、昨日はアレを食べたから……とランチタイム前から頭を悩ますのだって楽しいだろう。
だが忙しくて食べれない時もあり、カロリーメイトやゼリー飲料を1分足らずで平らげることもあるだろう。そんな社会人諸氏は多いのではないだろうか?
かくいう私もそんなありふれたリーマンの一人だった。
あるとき、忙しすぎて水とブラックコーヒーだけで乗り切ったことがあったのだが、その日はすこぶる調子が良かったのだ。
いつもが長く緩やかな坂を自転車でゆったり上るのに対し、
その日は自転車で坂道を下るがごとく爽快であった。
もちろんお腹はすいていた。
あの胃を掴まれたかのような感覚に、5分~10分はイライラしていたと思う。だが同じほど仕事にイライラしながら着手していたのもあってか、空腹感はいつの間にかなくなっていた。
そんな奇妙な現象を体験し、似た経験をした人がいないか調べることにした。
するとどうだろう、
「空腹」こそ最強のクスリ
そんなタイトルの本が出てきた。
最初は怪しい宗教か民間療法かビジネスなのかと思ったが、内容を見ていくうちに、ただ食事の回数を減らす16時間断食なるものをやるだけだということが分かった。
だいたいこの手の話題には、「空腹を和らげるサプリ」や「空腹を抑えるステッカー」のような怪しいものがバックにある。
だがこれは、ただ食べないだけ。
何か宗教に入って修行するとかではなく、自分の生活から食事時間を取り除くだけだった。
読んで分かったのは、食べ物の消化は意外と体力を使うという事。更に空腹状態が16時間続くと、長寿遺伝子が活性化するのだとか何とか。
後者については良くわからないが、消化に体力を使うというのは何となくわかる。食後はだいたい眠くなるし、食べる前よりも明らかにパフーマンスが下がる。
それになぜ今まで気づかなかったのか、ゲーム的に言えば回復どころかデバフを食らった状態じゃないか!と思った。
だがそれが生物のすごい所で、生命維持のために空腹感という苦痛を与え、摂食に快感を与える。そう考えると、もともと人間は食後にこんなデスクワークをするように設計されていないのかもしれない。
だが空腹は間違いなく高いパフォーマンスを与えてくれる。
それはサバンナの猛獣たちを見れば明らかだろう。
彼らは我々人間のように、金さえ出せばいつでも食にありつけるわけではない。獲物の草食動物は凄まじい速度で逃げるし、それを仕留めたとしても、ライバルがいれば奪い合いの戦闘がおこる。
群れの仲間出ない限りは、人間のようにはんぶんこなんてしないだろう。
さて、そんな過酷な奪い合いをする彼らの胃の中は空っぽだ。
これを自分の体験と重ねると、すんなりと納得がいった。
これを読んでいる人がいるかは分からないが、食後の眠気が鬱陶しく感じている方は試してはいかがだろうか?